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精神遅延の現状

精神遅延という言葉は、一般的にはあまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、知的障害と言うとピンと来る人が多いと思います。近年、国際学会が精神遅延という言葉を使用したことから、この表現が徐々に浸透しつつあります。

精神遅延と診断されるにはいくつかの条件があり、それらの条件を満たした場合に診断がつくことになります。

精神遅延の原因は、発達障害も含め実に様々で、程度も幅広いと言われています。ダウン症などの染色体異常が原因で起こることも多いですが、出産時の事故や脳の障害、また発熱の後遺症や虐待の影響など、後天的なものも多く見られます。また先天的なものとして遺伝であるケースも少なくありません。

診断の条件としては、知能指数(IQ)が70以下であること・適応能力がないこと・発症が18歳未満であることが挙げられます。発達障害と同様に、知的障害者の多くは身体的な発達にも遅れが見られ、乳児期には首がすわるのが遅いケースもあります。

また学童期に入ると授業についていくのが困難となり、記憶力の低さが顕著に現れ始めます。言葉の遅れや多動などの症状もあり、他者への関心が極めて低いなどの特徴も見られます。

知的障害の程度は知能指数によって分類されており、50〜69程度が軽度、35〜49程度が中等度、20〜34程度が重度、19以下で最重度とされています。知能指数が70~85程度の人はボーダーと呼ばれており、知的障害者とは認定されていません。

発達障害の精神遅延と診断されると療育手帳が交付され、障害年金や特別障害者手当などの支援を受けることができます。

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